Printer Friendly Version アレクサンダル・ヴチッチ セルビア共和国大統領による国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)での演説全文です(2021/11/02) @ 3 November 2021 05:10 AM
 
2021年11月2日
 
 グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)でのアレクサンダル・ヴチッチ セルビア共和国大統領の演説
 
「ご列席の各国首脳、代表団の皆様、そして親愛なるサラ、
 
まず初めにボリス・ジョンソン首相、そして女王陛下によって任命された政府閣僚の皆様の非常に素晴らしいおもてなしに御礼を申し上げます。
 
この重要な場所、気候変動という問題への人々の意識を高めるという現代社会にとって最も重要なテーマを話し合う為に各国首脳が集ったこの場所に、セルビアを代表して参加できたことを非常に栄誉に思っております。
 
気候問題、そして環境問題に取り組まなければならないことについて、私達は皆一致しています。
 
また人類の生活を唯一可能とさせるこの地球の破壊という私達の犯した過ちを二度と繰り返さない為にも、未来の世代への教育が不可欠という見解でも私達は皆一致しています。
 
また私達セルビア共和国が非EU加盟国から成る「東欧諸国グループ」代表として今年の会議に共同議長国として参画できることを私は誇りに思います。
 
具体的に私達の専門家チームによる作業の成果はパリ協定第6条の運用に関する交渉の終盤にて温室効果ガス削減量への世界規模での市場メカニズムと非市場メカニズムの導入、また強化された透明性枠組みや国が決定する貢献(NDC)への共通した期限など、パリ協定の鍵となる規定の数々を決定したことにうかがえますが、未だに合意がみられず、本会議では全加盟国による採択が求められています。
 
よって私は本会議で交渉を取りまとめるにあたり、セルビアが共同議長国として貢献する絶好の機会と考えており、それによりパリ協定の全面的な施行に繋がることを期待しております。
 
セルビアに対してモデル化された2050年までの力強い経済成長の成果として、環境対策の実施による国内の雇用への影響も新たな雇用の場の創設、これまで存在しなかった新しい産業の創設を通じて最適なものとなることでしょう。
 
またセルビアは初めてのグリーンボンドの起債により10億ユーロを集めましたが、これはセルビアのグリーンアジェンダのみならず、私達の国の経済的、そして政治的安定性への世界の投資家の方々からの信用を如実に物語るものと言えるでしょう。
 
グリーンボンド起債による収入は再生可能エネルギーやエネルギー効率、水資源の持続可能な管理、汚染防止、循環経済の育成、生物多様性保護といった分野に活用する予定です。
 
親愛なる友人の皆さん、ご覧のように私のスタッフ達はこのように素晴らしいスピーチを準備してくれましたが、しかし私は更にいくつかの言葉、そして大国の国々によって提議され、まだ回答が出されていない事項についていくつかの質問を付け加えたいと思います。
 
まず、どのようにしてこれらの行動への資金が提供されるのでしょうか?
 
数兆ドルもの財源があるという話も聞いています。そこで私の質問は、金利はどれほどになるのか、その助成を受ける為の条件は、そしてそもそもこれらの課題に対してどのように対処していくのか、というものです。
 
2番目の質問は、原子力発電所に対する姿勢です。全て閉鎖しなければならないのか、それとも更に建設を進めていくのか?
 
また既に私達は風力発電所や新たな水力発電所の建設に反対するポピュリスト運動への支持を始めている訳ですが、それではどのようにして更なる再生可能エネルギーの開発を進めていくのか、また巨額の助成金を得た場合、それは私達の公的債務の対GDP比に悪い影響を与えないのか?
 
 
また天然ガスはどうするのか、天然ガスと電力エネルギーの適切な価格をどのようにして維持していけるのか?
 
また私は今回エディンバラからグラスゴーまでEVでやって来ました。そこでリチウム、ニッケル、コバルト、及びその他の数多くのとても重要な鉱物の採掘と加工をどのように推進していくのか?
 
そして最後になりますが、私達は皆、いったい何が最大で、且つ最終の目的であるかを知っています。しかしそれは何も寓話ではないのです-多大な作業が求められ、そこには100パーセントの全力の傾注が求められます。諸国間でも今まで以上の誠実さが必要となります。
 
セルビアに住む人々の健康は直接的にこのアジェンダの施行に左右されることになります。これはこの地球に住む一人一人の健康と生命が本会議での合意とその各国レベルでの施行とに左右されるのと同様です。
 
母なる地球の悲鳴に私達がもう耳を傾けるべき時が訪れているのです。時間との戦いに負けてしまえば、私達は子供達にもう取り返しのつかない汚染された地球を引き継がせてしまうことになるのです。
 
私の話をご静聴いただきありがとうございました。」